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東側エントランスポーチ
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軒下空間と落雪
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南側夕景
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リビングダイニング
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居間とロフトへの踊場
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図書スペースとソファーコーナー
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ロフトからダイニングを見る
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ロフトと吹き抜け
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飯綱山を望む開口(居間)
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夜景
飯綱町M邸


敷地は長野県北部に位置し、冬期の積雪が1mを越える豪雪地帯に位置します。
敷地一帯は緩やかに西に向かって傾斜した果樹畑の広がる丘陵地にあります。
東側に接道し、南面に住宅が隣接しており、西側は広く視界が開け、飯綱山が
見える美しい景観が広がっています。

クライアントからの要望はアトリエを併設する事、来客の為のゲストルームになる
スペースを希望しました。また積雪の量が多いため、屋根の雪下ろしの軽減、積雪時
にも除雪が不要なスペースの確保、農作業やその他田舎暮らしに必須な物を収納
するスペースを一体的に計画するという要望がありました。


配置計画は東側の接道部に駐車スペースを4台分設け、玄関へのアプローチを確保
しています。道路面から玄関までは1.5mの高低差があり、駐車場の除雪の雪捨て場
も兼ねています。建物全体は南面に向け東西に長い平行配置としています。
東西に長く配置することは夏期の日射を避け、冬期の光を入れるパッシブ制御の
考え方に基づいて計画されています。


全体構成は東南面に向けた屋根と45度の角度をつけた平面をしています。角度を
付けた理由は、積雪時の庇下空間を外周部に設ける為です。浅い庇は落雪に
埋もれてしまう、深すぎる庇は室内に直射日光を取り入れることが難しくなる。
角度と雁行配置でうまれる余白が外周部に生まれています。また、この余白に
各機能や役割を与えています。(玄関アプローチ、設備置き場、薪置場、工作室、
物干し場、デッキテラス)倉庫や付属収納を全て庇下の空間に納めています。
また庇の浅い場所では東〜南面からの直射日光を取り入れることができます。
飯綱山まで遮る事の無い景色が広がっているため、室内の軸線・開口部は飯綱山
が見える方向に向けています。南方向は道路の通過交通の視線、隣地の既存住宅が
建っており、視線の制御と言う理由からも角度を付けた効果が生まれています。
 各部屋のスパンは通常の住宅のスパンよりは幅の狭い2.73mを利用しています。
通常より引き延ばされた各機能は物理的な距離と空間の広がりを持つことができ
ています。また各スペースは「機能を限定しない居間」が分散する構成となり、
自由度の高い使い方ができます。またこの家にはテレビがなく、テレビ+ソファ
による拘束が無い事で部屋のスパンが自由になったと考えています。図書スペース
にソファを設置しており、動線の端部に作り付ける事で内部空間は機能的にも開放
されたように思えます。
 洗面脱衣室と繋がった部屋(衣類置場・着替え部屋)に衣類集約する事で寝室
や個室にクローゼットや押入を設けずにすんでいます。外壁面に対して開口を自由
に広く取る事ができ、また各部屋と部屋を繋ぐ接線も長くなり一体感や連続性を
高めることが出来ています。室内の部屋の端部を開口部とすることで効果的に視覚的な
抜けをつくり出しています。

アトリエはクライアントの奥様の職業はバックアーティストであり、作品の制作
の為の場所です。西向きではあるが飯綱山が一望出来る大きな窓に面しています。
屋根の下のデッキに面しており、庇が深いため直射日光が入りにくい様に配慮し
ています。作業スペースは最小限で背面を全面収納としています。作業時に家事や
家族の様子が伝わる場所であり、引き込める扉、小さな開口を設けています。


暖房と断熱、室内環境(過酷な自然環境と対峙する為に)について
断熱性能を次世代省エネルギー性能とし、外壁・屋根をウレタンフォーム
吹付け、床下空間も室内と同様の仕様で断熱材を吹付けしています。小屋裏
に換気扇を設置しダクトで床下へ暖気を送り室内で循環する仕組みを取り
入れています。サッシはアルミ樹脂複合のlow−eガラスとしている。
薪ストーブ1台で全ての暖房を賄っています。


落雪計画
積雪が多い時で2mを越え地雪下ろしが必須の地域にあります。年齢を重ねる
と屋根上での作業が困難になると想像できる為に雪を落とす仕様としました。
屋根はガルバリウム鋼板の波板葺きとし、雪止めと樋は無い仕様。敷地の
高低差を利用し、建物は設計GLに水平に建ち、周辺の地盤が徐々に下がって
います。屋根から落ちた雪が建物周辺に積もり、その頂部を除雪し高低差のある
外周部へ落とすことを計画しています。実際に積雪を経験した際には屋根には
留まらず、全て下に落ちています。また積雪量が多く落ちた雪が軒先に届くほどに
積もったが三角形に切り取られた外周部の庇下の空間は雪に埋まらずにスペース
を確保しています。落雪した雪の頂部のみ除雪することで採光,通風を確保
できています。通路部、駐車場は平地用の除雪機を使用し雪を周辺に飛ばす予定。



構造計画
積雪の設計荷重は200cmの地域の為にメインの登梁は通常よりは材が
大きくなっています。計画当初から45度の角度を持つ事で加工コスト増
が懸念されていました。そのため木下氏に依頼した際に、「仕口の合理化、
手加工部分の箇所数を少なくする事」を構造設計への大きな要望とし
て依頼しました。屋根面は屋根面で剛性を確保し、屋根面と外壁面の取り
合いは合理化され、ロフト部分は隅柱を除けば間柱となり仕口の加工
が省かれコストが合理化されています。外周部の鉄柱は鉛直荷重のみを
支えています。室内の吹き抜けのブレースは水平剛性を確保しています。
壁面の外周長はある程度長く確保する事ができた為、室内空間に連続
する大きな開口面を自由に確保することが可能となり、ロフト部分も
含めて全てが連続した一室的な空間的構成を実現しています。




飯綱町M邸

所在地 長野県上水内郡飯綱町
主要用途 住宅
竣工年 2014年

設計・監理 暮らしと建築社
   担当/須永次郎 須永理葉
構造 木下洋介構造設計室
   担当/木下洋介
施工 株式会社ツチクラ住建
   
敷地面積  480.00m2
建築面積 150.74m2
延床面積 149.05m2
階数 地上2階 
設計期間 2012年11月~2014年5月
施工期間 2014年6月~2014年11月